

昨日(18日付)の新潟日報。同じ日の紙面の一方(総合面)では「健康被害例ない」と書いてあり、一方(社会面)では「甲状腺がん50人に」。一見矛盾し違和感ありありな気がするのだけど、それがそうではないんだという話をメモとして。
福島県で現在おこなわれている甲状腺がんの検査は、「チェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの甲状腺がん増加が確認された」ことを理由に、「(現段階は)放射線の影響がない現状把握のための基礎データーの採取」という立ち位置のよう。つまり「今後の検査でがんが増えるかどうかを確認して、放射線の影響を調べる」のだそうだ。だから、仮に何百人といま甲状腺がんが見つかっても「放射線の影響がない現状」として分類され健康被害例にはカウントしないという仕組み。うまく出来ているものだ。
しかも、理由とされた「チェルノブイリでは4~5年後…」というのはその一行だけ見ればウソではなく、ホントウのこと。
でも、チェルノブイリでは2~3年後にはどういう検査をしていたとか、そもそも甲状腺への影響への知見がその当時に存在していたのか(知見がなければ調べてないよね)とか、30年も前の検査機器の精度や技術水準はどの程度のものだったかなど、その一行の前後にあるはずのことはスッポリとどこかに抜け落ちてしまっている。健康被害例がないのはいいことだけど、文字通りにそのまま受け取ってよいものかどうか、あるいは言葉のレトリックで「ない」ものとされているだけなのかどうか。