平面やインスタレーションなど形態はいろいろだが、創った作品にはいくつかの「シリーズ」がある。なかには長く続けてライフワーク化しつつあるものもあるが、一方で、テーマが決められた展覧会への出展や、誘われた「風変りな企画展」の企画趣旨にあわせた制作など、いわば「単発的に」こしらえるものがある。
で、後者の場合、展覧会が終わると作品はそのまま倉庫の奥に片づけられるから、あまりにイレギュラーなものだと本人もその存在をすっかり忘れてしまうものもあったりする。2003年の年末に「トシワスレ展」という企画をたて、それに自らも出展した作品がまさしくそれ。
ちょうど10年前となる2003年は、運営していたカフェギャラリーを3月末で閉店させた年で、この年末のグループ展では閉店後の活動自体を作品にしようと、4月から企画した6つの展覧会の写真と資料を一冊のアルバムにして、それを「作品」として呈示していたのだった。10年前の作品の写真を探している…なんて前に書いていたが、書いた途端、うっかり忘れていたこんなアルバムが出てくるから、面白いものである。


2003年は「ONE Mart EXPRESS」展をスタートさせた年で、このころはblogも作っておらず写真等もそう残ってなかったから、美術家のSさんが後々ずっと「あの第1回展はすごかった」と言い続けた展示はちょっと伝説化していたが、きちんと記録しておくことは大事だとあらためて思った次第。
同展についてはメンバーを固定化せず、展のコンセプトも進化させながら回を重ね、昨年のいまごろ第9回展をおこなった。昨年と一昨年とこの11月の終わりくらいにおこなっていたから、「今年は?」とか「またやるんでしょ。楽しみにしてるね」なんて言われることもあるのだけど、今年度はお休みにしました。第10回展は来年に廻す予定で考えてはいます。
このアルバム「作品」には、他に、夏にギャラリー沙蔵でおこなった「蔵・展」など、いま見直しても興味深い展示がありますので、それらは機会を見てまた紹介できればと思います。また、第1ページには新潟日報・美術時評欄に「長岡の画廊喫茶 惜しまれつつ幕」と掲載された4月8日の新聞記事。「終わり=始まり」ということですね。
