今日の「近藤武弘展」の展示作業は、多量の作品を並べるということもあるし、会場自体が大広間、茶室、廊下、玄関等といくつかのゾーンに分かれていてそれぞれ違った空間で展示するわけだから調整も多岐にわたると、つまり時間もかかるだろうと思っていた。
だからある程度は帰りも遅くなるだろうと覚悟して行ったのだが、でも作者の事前準備が万端で、ことのほかスムーズに。帰路には、道中にあるギャラリー喫茶の“やまぼうし”にゆっくり立ち寄る余裕まで出来た。川端隆行さん(阿賀野市)の個展を開催中。
同店はギャラリー部分と喫茶部分とが明確に分かれているが、右の喫茶室内にも川端さんの作品が掛けられている。画像の2作品は「ガラス絵」。コーヒーを飲みながら眺めていた。
川端隆行作品展
会期:10月5日 ~ 10月13日
会場:ギャラリー喫茶・やまぼうし 【新潟市秋葉区】
近藤武弘展の前日準備作業が完了。54点もの多量の作品を飾りいれ、
作者がコメントするように「日本家屋のなかに近藤ワールド」が見事に展開されたようです。面白く、かつ意味の深い展示になったと思います。
上の画像、奥の茶室(←こちらにも作品展示してある)に向かう廊下の途中、幅一杯にまるで邪魔するかのように自立して置かれた作品は、F50号油彩画の「Black」。(ちなみにこの裏側には「white」なる作品があります)
展覧会は明日12日(日)、10時オープンです。明日は(近藤さんとともに)私も在廊している予定でいます。下の画像は展示作業中のヒトコマ。
明日から始まる近藤武弘展の作者コメントです。
約2か月前に届いたものですので、その後の制作や企画の進捗により細かなところでの微調整もここからなされていますが、紹介しておきたいと思います。さらに、昨夜遅くの本人からのFB速報で、仮展示してみた結果として作品のチョイスにやや修正を加えたこと、「10月11日制作(←今日ですね)の最新作」も新たに加えたい旨ありました。
作品「数」的に足りないということはなかったので、超最新作を加えるということは、作者自身の初個展へのなにか強いこだわりが見える気がします。
(2014.10.11 am6:30記)
● 展覧会案内
http://atelierzen.blog.fc2.com/blog-entry-2578.html
近藤武弘「描き手冥利」絵画展 作者自身のコメント
個展の話をいただいたのが2014年4月でした。数寄屋造りの日本家屋をギャラリーとして使うとのこと。「そこで個展はどうですか?」寝耳に水とはこのことでした。
「日本家屋」という言葉の響きから浮かんだのは、日本の独特の湿気を帯びた何より私自身の「昔の実家」であり、お祭りで見た「見世物小屋」の雰囲気でした。通常の美術館や画廊のようにゆったりと間を持たせ、品よく展示するのではなく、混沌としたエネルギーに満ちた展示ができれば……そんなイメージが脳裏をよぎりました。
私の描くものは、基本的には第三者に感動を与える機能を優先しないものばかりです。汚くいえば自分の垢のような存在かもしれません。そんな身勝手なものを人様に観賞いただき、「良かった」とか、「訳が解らない」とかではなく、「何か疲れた」と思ってお帰りいただきたい。そんな滅茶苦茶なコンセプトに、逆にそれならいける!と思い、個展開催の意向を伝えました。また展示スページが広いことも魅力でした。メインとなる8畳2間では寝っ転がって観賞いただきたいくらいです。
展示作品は2014年の最新作品を中心にし、2000年以降の作品からも展示物のチョイスを始めましたが、私の目指す「見世物小屋」的空間を演出するには1989年以降の少し古い作品を加える必要がありました。混沌とした世界を表現する演者として。
冒頭申し上げた通り、間を持たせ、鑑賞者の目を休ませるスペースなど必要とさせません。入口を通り最初の4畳半、メインの8畳2間で鑑賞者に絵画の洪水に飲み込まれていただきます。作品に登場する様々な人間の視線に対峙していただくことになります。しかし会場の最後、茶室はそれまで展示していた「人間の存在」を消し去った作品のみ。茶室ということもあり先程までの「心の動悸」から一旦開放していただければと思います。
岩田ギャラリーを出て、それぞれがご帰宅いただく時間の中で、先程までの体験がどこか、浮き世離れした空間に放り出され「日常とは違う世界に足を踏み入れてしまった」と後悔すら感じていただければ、作者としてはしめたものです。
近藤武弘
(2014.8.12)