
森村誠一が作家活動50周年であることを、昨日のBS日テレ「久米書店」にご本人がゲストで登場されていたのを見て、知った。
森村作品では初期のころの「本格推理もの」がとても好きで、そのころのものはほとんどに近いくらい読んでいる。上に掲げたのは昭和51年の初版本、1976年だからちょうど40年前のもの。気に入っている作品だったのと「40年」というキリのよさに、つい載せてしまったというわけだ。
推理小説のジャンルのひとつに「電車の時刻表を使ったアリバイトリック」というものがある。本来わたし的には、時刻表トリックものは目が痛くなって嫌いなんだけども、この「虚構の空路」は、電車ではなく「航空機」の時刻表を使ったというトリックが斬新だった。しかも国外への路線である。電車とまったく違のは、出入国時の査証など動かぬ証拠がはっきり残るからで、動かぬはずのものをどう動かすかという発想の大胆さ、面白さである。
初期の作品を三つ並べてみた。時刻表トリックは嫌い、なんて書いたそばから「新幹線殺人事件」もそのタイプ。でも清張の「点と線」と同様、単に細かな数字合わせのトリックではなく視点がいいので、嫌らしさはない。