
昨年も一昨年も、
見たらこの時期記していたけれど、東京渋谷の画廊喫茶「ウイリアムモリス」の年末恒例・日野洋子展。今年も案内が届いた。
日野洋子展/2022年12月2日~28日、日曜・月曜・第3土曜
(17)休み、12:30~18:00
ウィリアムモリス/東京都渋谷区渋谷1-6-4TheNeat青山2F

野田英世さんのスケッチ作品展が長岡のギャラリー沙蔵と越後文化的商店「たつまき堂」の2箇所で同時開催中ということで本日はそちら迄。
2つの会場は徒歩10分弱でDMには「ハシゴしてお楽しみください」と出ていたので、数日前までは今日の好天予報に歩いて回ろうと思っていたけれど、締め切り仕事も少し出だして時間的なものもあるからとやはり車になる。
作品の写真は撮れない(そうした注意も掲示されている)からと、この日撮ったのは1枚のみで「たつまき堂」の外観、入口部分(↓)。かつての屋号の“かどふじ”も残されていて、個人的にはさりげなく置かれている
「たばこ」の赤い立看板もキーポイント。

ギャラリー沙蔵では1階が「野田英世スケッチ作品展」で、2階の喫茶室では別グループによる「スケッチブック展」が開催されていてこちらも見ました。奇しくもスケッチつながりとなってたわけですね。
今月頭に話の流れで
長岡での約20年前の現代美術展「クライズム」についての佐藤秀治氏のレビューを掲載したが、同じく氏が書かれたその前年2003年の論評も紹介することにしたい。またこの機会に氏の論評活動についての
カテゴリーを新しく設けることにした。
その2003年の展覧会は、2004年の「クライズム」展と同様に「蔵のなかでの現代美術」を基本コンセプトとしたもの。
その頃長岡に出来た蔵ギャラリー(ギャラリー沙蔵)を使うということ、数名の新潟県内在住作家の作品で展を構成することも共通するが、作家選定の意図は異なる。
2003年の「蔵・展」のほうは5人展という形態で、うち3人の男性は現代美術のフィールドで活動していた作家だったが、女性お二人のほうは(現代美術が市民権を得たいまだと捉え方も随分変化があると思うけれど)当時だと特に現代美術の枠では捉えられることのなかった、工芸作家の山田さんとイラストレーションの若手作家トミナガさん。いずれもふだんの作風を見ていて、現代的なセンスや空間への意識も高くて面白いと思っていたから、ぜひ一緒にやろうと発案した企画となる。
下記レビューは新潟日報文化欄に掲載されたもので紙上では「
見る楽しみ あらためて提示」と見出しが付けられている。
[論評]
蔵・展―5人の手法 (企画:アトリエZen)
評:佐藤秀治 (美術家)
●2003年9月1日 新潟日報文化欄掲載
長岡市ギャラリー沙蔵にて2003年8月29日~9月3日に開催
会場は大正時代の蔵をリニューアルしたギャラリーである。喫茶もあり、開廊わずか1年半で評判も高い。案内によると今回は、「同時代表現を思考する作家シリーズ」の初回とある。当然5人の仕事を並べて紹介するのでは意味がない。仕掛けた「展」そのものもひとつの表現として問いたいらしい。「展」全体で、一方個の作品として、アートをどのように見せていくかということは作家たちの命題でもある。
事前に5人の仕事をリサーチして、「単純に1掛ける5にあらず」を構築する。こうした働きかけがなければ、一堂に会することもなかった。ミスマッチとならず、他を融合してしまうのは現代アートの特質でもある。
選抜された5人はそれぞれ違う仕事でその期待に応えている。自然界にない大きな雲形は彩色とともに濃密な自然の香りを発している佐藤昭久。赤い花をキーポイントに透明感あふれる物語を語るトミナガアヤコ。ストライプのカードで壁面にレイアウトする外山文彦。植物の形の残像を隠すことで逆に意識化を図る中嶋均。自然木に鮮やかな布たちを巻き付け、赤い糸と円筒ミラー、織布のインスタレーションの山田初枝。5人が織りなす表現が、蔵の中の空気を温かく重厚なものに変化させている。見ることの新しい楽しみを、鑑賞者に提示しているような展覧会である。
上越市在住の現代美術家・堀川紀夫氏の作品“石を送るメール・アート”が生成50年を過ぎ、その経緯を振り返っての作品集が、美術史家・富井玲子氏との協働・共著というかたちで発売になりました。
石を送るメール・アート読本
編著:堀川紀夫+富井玲子/発売:現代企画室
/定価:2800円+税
B5変形・144頁/発行日:2022年10月31日
タイトルは「石を送るメール・アート読本」であり、なぜ“読本”と付いて出版されるのかについて、「通常の作品集のように作品を見るのみではなく、作品を契機として出現した思索や観察や意見をも読むため」の本であると、編者のひとり富井氏が冒頭記している。そこには「本書の準備は、堀川紀夫の《石を送るメール・アート》シリーズにまつわる作品集として出発した。その制作過程で作家の執筆する『覚書』が、当時の作家の考えや数々の郵送や取材に関するエピソードなどを取り込んで、詳細な自筆年譜の様相を呈するようになった」と本の成立過程が簡潔に記され、「単なるモノとしての作品に閉じることなく、《石》を通じて、また《石》から派生してくる言葉を通じて、人と人を繋げるネットワークの生成装置のような役割を果たしていることに負うところが多いのではないか、との結論に至った」と、その大きな理由を示している。
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前の記事の続きで。
中之条でのイベント→奥四万湖と巡った帰路は、せっかく四万まで来たからと温泉街にもほんの少しだけ立ち寄る。“新湯”と呼ばれる地区で、
4か月前に四万温泉に来た際は巳巳さんのパフォーマンス会場となった別地区のルルドだけだったから、このあたりも初訪問になる。
上の画像は温泉街を奥に臨む四万川と、四万温泉協会の建物の前に立てられていた幟。「観光とアート」と書かれていて目についたのだ。
下は積善館本館。(多くの部分は)現存する日本最古の湯宿建築となるようで、群馬県の重要文化財に指定されている。『千と千尋の神隠し』のモデルと言われていて、赤い橋は観光客で混雑するとも聞いていたが、紅葉シーズンからは1~2週遅れたこともあってか、あるいは時間帯的なこともあるのかこの時はまばら。写真がゆっくり撮れる。

薄いコーラルピンクの外壁部分の下階は「元禄の湯」なる大浴場。昭和5年に建てられたとのこと。
昨日は中之条町。この日に開幕となった「拝啓、うつり住みまして」なる展覧会に。
今年のエックス展に来場された群馬県在住の美術ファンNさんが同展の個人協賛者に名を連ねていて、エックス展時に展覧会内容等を伺い、行きたいと思っていた。
今年は(中之条町に縁が深く同地に知人友人の多い)現代美術作家巳巳さんとの企画をおこなったことをきっかけに以降中之条によく訪れていて、7月から数えると3回目になる。
「拝啓、うつり住みまして」は、中之条ビエンナーレを契機に移住してきた13作家のグループ展という形態で「変化するアーティストの立ち位置/視線、その風景」とサブタイトルがつく。
夏に外観等の写真をアップしていた旧廣盛酒造がメイン会場で、他に近隣徒歩圏内にある小さな空き店舗(旧綿貫電機、旧まんじゅうや、旧井上畜産)で1箇所1人ずつの展示がある。
最初にDMをいただいたときに「第3会場:旧井上畜産」とあるのを見てどんな建物だろうと思っていたのだが、こんな感じ(↓)。脇に「拝啓、うつり住みまして」と書かれた幟が立てられている。

建物の具合からここでの畜産業はもう相当に前のことと思われたが、室内には当時を偲ぶかのように社名入りの「養豚管理プログラム」なる大きな紙。赤茶けながらも貼られたままになっていて、面白いなぁと思いながらしばし眺めていた。
展覧会の写真をそれほど撮ってないが、旧廣盛酒造のほうから2枚あげておくと

右に写るドローイング(作品の一部)は山形敦子さん。光の具合でカメラ的に写し辛くて画像だとよく見えないが正面奥側に古川葉子さんのインスタレーション。

奥の大きな空間は飯沢康輔さんの絵画作品。ひときわ大きな作品はゲルニカと同じサイズに描かれている。素材はダンボール。

余談だが開幕日のちょうどお昼頃だったからか、旧廣盛酒造の敷地内、作品が並ぶ建物の裏手では出展作家数名が“けんちん汁”を作っていて、別に来場者にふるまうものではなく自らの屋外昼食用のノリと見えたけれど、Nさんから紹介されたりしている流れで一杯御馳走になった。ありがとうございます。
新潟からの同行者Kさんは美術好きであるとともにドライブがとにかく大好きでこの地も初めてだったので、展覧会のあとは観光で四万方面を巡ることにし、私自身
7月の四万温泉でのイベントの際はそこまで足をのばせなかったからと一番奥の四万川ダムと奥四万湖に。湖水の色は四万ブルー(シマブルー)と呼ばれる独特のもので、綺麗だと聞いていた。

時計回りで一方通行になっている湖面一周道路を廻り、画像は途中に設けられている展望スペースからの1枚。さすがに綺麗で、この日は少し緑がかっていてエメラルドグリーンにも近い、ターコイズブルーのような色調。季節や時間、天候等で色の変化があるらしく、鮮やかなコバルトブルーになるのは雪解け水が流れ込む春先に限るようだと後から知った。
拝啓、うつり住みまして
会期:11月19日~12月11日、会期中無休、10:00~16:00、
入場無料
会場:旧廣盛酒造ほか/
問い合わせ:中之条町観光協会