昨日に続き本日もギャラリー沙蔵に午後から在廊。
print works― 舟見倹二+外山文彦展。
作家のほか各地を廻ってられる美術ファンのかた、舟見氏と接点のあったかたなどいろいろなかたが来られ、作品について話したり聞いたりでなかなか濃密な時間。その中のおひとりから「(少し前に)新潟日報の文化欄に案内が出ていたのを見て、ぜひ観にきたかった」とあり、(うっかりしていて)紙面掲載に気付いてなかったと自宅に戻ってからバックナンバー探した次第。開催の1週間前となる、5月6日(土)の紙面。的確な文面である。
(2023.05.19 pm18:00)
2023年5月6日(土) 新潟日報(朝刊)文化欄
print works― 舟見倹二+外山文彦展の作品リストを一昨日にアップした。
[
舟見倹二 ・外山文彦 プリント作品]・[2階併設/
舟見倹二 油彩作品]
1階が版(プリント)作品、2階が油彩という括りだが、舟見・版作品としてリスト掲載したうち3点は2階に展示している。2点は立体(版画を使ってのミクストメディア)だから純粋なプリント作品は1点のみで、下の画像の「the series of space ’76」。階段吹き抜けの上部に飾っている。

先のリストでは「2階に展示」と簡単に注釈を入れる程度にしたが、もちろん展示上の意図があってのこと。会場には簡潔な一文を掲示している。(下に添付)
今回の
「print works― 舟見倹二+外山文彦展」では、私としてはかなり異例なほど事前に作品レイアウトをあまり(きちんと)決めていなかったのだが、そのなかでこの作品の配置だけは確定していた。というよりも、ご遺族宅に伺って今展の作品セレクトをしている時点で「(ギャラリー沙蔵にある、近寄っては見れないからふつうだと飾り辛い)この壁に」と発想が出て、それを前提に借りてきた作品となる。真っ先に展示位置が決まっていたというわけだ。
作品のサイズ、作品の持つインパクトが場に適していることもありはするけれど、肝心なのは1976年制作で油彩から版への移行期だということ。モチーフに油彩最後期作品と類似性が見られることから、その最後期油彩と対比するように飾ろうという発想である。ちなみに書けば、版のほうの作品名「the series of space ’76」はおそらく作家がのちに決めたもので、制作当時は「空間シリーズ」というタイトル(油彩と同じ)だったと思われる。
会場に貼る解説的パネルの文章は簡潔にがセオリー。長いと読んでもらえないし、だから「モチーフに類似性が見られる」程度に留めている。難しいところだが、舟見自身の言葉もあるからそれを何かしらのかたちで加えられればよかったかなとも後から思えている。
その言葉は1階の「舟見倹二のコメント 軌跡…油彩作品から版作品へ」と題したパネル内に呈示をしている、「(版の)イメージはもちろん油彩表現とそれほど変わりはしません」というもの。その部分、以下転載する。(赤字)
私は1975年、それまでの油彩作品制作のかたわら、最も初歩的な手法によってシルクスクリーン・プリントを始めます。イメージはもちろん油彩表現とそれほど変わりはしませんが、この版表現で見えてきたのはより明確な平面上の図形のもつインパクトであり、平面空間そのものの抽象へと向かいました。完全に油彩と決別する契機となり、現在に至っています。(2009年4月 舟見記)
the series of space ’76と会場風景