五十嵐祥一さんの文章は学生時代からとても好きで、大学のゼミ誌に書いたものから展覧会レビュー、作品に対する文章まで手元にかなり所有していたから、氏が若くして急逝したときにそれらをまとめた。blogにもかつて時折転載したことがあるが、たぶんそうしたことの流れに何かキーワードがあって書き写したんだろう。
そして、旅を続けよう
ノプラマ・アート「Laughi'n the nude」を終えて
五十嵐 祥一
その当日が終わるまでの焦りと集中したことのせいか、ひどく虚脱な状態になる。夢から醒めた朝遅く、街を歩くときの感じとよく似ている。たくさんの人々に集まってもらい、楽しかった。展覧会は終わり、ぼくたちは再び大洋へと出航する船のように、束の間の停泊を終え、それぞれが旅を続ける。また或る日に何処かの港で出会い、裸で笑いたいと思う。
旅は自己形成の作為であり、なにももたないぼくたちにとって武器である。気持ちよく笑うためには、日々のなかでぼくたちを去勢しようとする商業主義や情報操作と戦わなければ果たし得ないだろう。川瀬君がパンフレットで「連帯」について書いているように、この作業には仲間が大切であり、それはまた一人一人が「自由」を志向するなかでしか実現されない、はかなくも強靭な花のようだ。
このカタログでは、当日のパンフレットに作品写真をまとめてみました。○○氏から頂いたお祝い金を充てさせていただきました。ありがとうございました。
みなさん、御苦労さまでした。また当日の混乱のなかでお手伝いくださった方々にこの場をかりて感謝いたします。それではお元気でいてください。次の港でまた騒ぎましょう。
では、また。
ノプラマ・アート「Laughi'n the nude」展・カタログ 巻頭言
※ 関係者向けに配布されたカタログということで文中の○○氏は冊子内では実名で記されていますが、ここでは伏字としました。
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