田島鉄也「〈野性〉論
地下光学展で出展作家である氏は、この著作を中央の一室に設けた「小品・販売コーナー」に持ち込んでいて、会期初日に私はさっそく買い求めていた。
決して「じょんぎ買い」ではない。じょんぎ買いという言葉は私の周辺でよく使われていて、新潟の方言だとはこれまで知らなかったのだけれど、要は「義理で買うこと」を指す。つまりギムとかギリではなく、購入動機はシンプルに、氏の考えかたに興味を持ったからである。
氏は大学は違うものの同期で、大学の卒業間際にその名前を知った。その後、友人付き合いをしたりすることもなかったから、今回の地下光学が一緒におこなう初めての「活動」である。特記しておけば、ギャラリートークでも話したことだが、今回の展覧会の核となるコンセプトの作成やその決定において彼との共同作業ですすめており、出展作家の構成も最終的にはふたりで決めたかたちとなっていた。
彼は理系の大学の出身。理科的な仕事をこなしながら現代美術に進み作家活動を継続している点、私と同じである。一方で制作への手法、作品の成り立たせ方など、その作品に関してはほとんど共通しないどころか、おそらく対をなす。共通項と非共通項が興味をそそる対比を成し、自分自身の原点というか根底を見つめるためにも読んでみたかったのである。
会期初日にすぐ買い求めたのは、会期中に読破して最終日のギャラリートークに臨みたいという考えがあった。でも、行間を考えながら読んでいたら時間が足りなくなり、まだ半ばにも達していない。

地下光学展、小品コーナーの棚の一光景。田島さんの著作もここに置かれていた。
上の画像右側のワインボトルを使った「作品」は大和由佳さん制作で、彼女が今回展開していたインスタレーション&映像作品と関係性をもたせての小作品。一方、下の画像左側のアルコール類は、前にも書いたが最終日の宴用にといただいたもの。なぜか馴染むのは困ったことか、それとも場の特性か。
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