キース・ジャレットの即興ピアノソロであるケルンコンサートは、曲名は「Köln, January 24, 1975 Part I」、「Köln, January 24, 1975 Part IIa」、「Köln, January 24, 1975 Part IIb」…と場所と日付だけで、制作の日付でタイトルを統一した信田俊郎さんの作品との共通項を(今春の展覧会中)感じていたのだった。

今年の春に開催したその信田俊郎展が、すこぶる評判がいい。
展示が終わって半年以上も経つのに、美術関係者らからいまだ「あれは素晴らしかった」という声が届くから稀有な例である。企画した私自身も実にいい仕事が出来たと考えていて、例えばベスト10でもベスト5でもいいのだけれど、2019年の新潟県での展覧会はこれ!と挙げようとするなら、まず入ると思うくらいだ。先日maison de たびのそら屋に来場された一般の美術ファンのお客さんからは(私がその企画者だと最初知らずに)「これまで観たなかで一番感動した展覧会。あれで自分が絵に何を求めていたかわかった」とまで言ってきた。
もちろん作家や作品が素晴らしいのが前提であって、殊更に企画側の苦労だったり云々を言うつもりもないけれど、コーディネーター的視点からすると本展は企画者の役割を果たせたというよりもむしろもっと、企画者(私)と作家との一種コラボレーション的な“協働”の作用の大きさを感じさせるもので、それがいい展覧会になった要因のひとつにもなろうとそんなことをあらためて思っている。手前味噌ではあるけれど、信田さんからも同様な言葉をいただいた。
企画者にはなかなか光はあたらないし、もともとそういう種類のものであるけれど、年の瀬に今年の記録としてちょっと付記しておきたいと思った次第。

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