1か月前のまだ編集制作・校正段階のときに「昔の長岡の画廊を調べていると(冒頭に)言いつつ、調べる過程で知人画家のアルバムから見つけた写真に興味をそそられた(そちらのほうをコラムにした)」なんて書いていましたが、タネを明かせば、約10年前に解体された旧丸専デパートの外観写真のこと。
外観といっても狙いは単なるファサードではなく、昭和50年代にSさんが外壁に掲げられた「美術展案内の垂れ幕」を撮っていたもの。毎年のように丸専で開催したグループ展の当事者として連年記録撮影されていたのだが、しかしそれが、見る側の興味や視点が変わることでまた違うもの(この場合は増改築の繰り返された建物の歴史)が見えてきたという話。視点の変換というのは斯様に面白いですね。
ところで昔の展覧会案内物には年号が書いてないものがよくあり、垂れ幕や印刷物が●月■日という会期だけだとそれが何年だったのか後からわからない。紙面に掲載した画像では真ん中がそのタイプで、アルバムに貼られた順序の前後関係から「昭和55年か56年」と最初推測をたてたら、本文に出てくる木村さんからそれならおそらく昭和55年だろうとあった。写り込んだ他の垂れ幕が根拠で、なるほど“輝け!ナツコSUN”なるキャッチコピーは資生堂のヒットCMであったなと時代考証のよう。御婚礼家具大展示中とか今だとお目にかかれないようなフレーズもあって、時代の風俗といった見方も面白そうだ。

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